011 こだわりと誇りと上質が詰まった造作ソファ [園田椅子製作所]

 

メーカー×工務店×デザイナーの共作ソファ

園田椅子製作所は、静岡にある椅子とソファの専門メーカーです。つくっている製品は大きく二つに分けられます。
一つは既製品で自社ブランドの「Quito(キト)」製品と、OEM製品をつくっています。
もう一つは、物件に対応した特注家具をつくる仕事で、店舗設計を行う会社やハウスメーカーから依頼を受けています。
園田椅子製作所の代表、園田剛幸に尋ねると、「物件の仕事の特徴は、スケジュールが短く、
やりとりが煩雑で、コストが削減され、とにかく納めることに腐心する場合が多い」、と話します。



股旅社中で園田椅子製作所が関わっているのは一邸一邸、物件に対応した特注の造作ソファですが、
前述の物件の仕事とは様子がかなり違います。股旅社中のビルダーが園田椅子製作所に依頼するのはコストを抑えるためではないし、
かなり早い段階から打ち合わせを開始します。場合によってはデザイナーの村澤一晃とビルダーと三者で現場に入って、
デザインや施工、取り付け方法の相談をします。建築と一体で考える造作ソファならではのよさを住宅にそなえるためで、
そこに園田椅子製作所の技術と経験が生かされます。


入口と出口に責任を持っている頼もしさ

園田は、全国各地の現場にフットワーク良くでかけます。
図面をもらってそのままつくるのではなく、設計の意図と住み手の要望と現場の様子を確認するためです。
プロとして、園田椅子製作所ができるベストを提供するために意見も積極的に述べます。
そんな園田の話に、ビルダーの設計者やディレクターは耳を傾けます。
その話は、そのまま自分たちのお客様にプレゼンテーションしたくなる内容だからです。
このソファがなぜいいのか、園田の言にはその根拠、理由、正しさがしっかり語られます。
こうして、園田椅子製作所の工場に持ち込まれる話は、すべて社長である園田が入口になっています。
そしてもう一つ、工場の梱包・出荷は園田が責任担当です。すべての製品は園田が最終チェックを行います。
品質と経営の最高責任者の検品ですから、いちばん厳しいいのは当然。問題や不具合があれば直ちに現場に戻します。
こうしてチェックをパスした精品が、園田の手から配送業者に渡されます。
ボスが入口と出口で責任を受け持つ。これが園田椅子製作所の頼もしさです。



ものづくり目線で一番を目指す

園田椅子製作所は、木製家具づくりを自社工場内で一貫して行うことができるのが大きな特徴です。
材料の木取り、木地加工、組み立て、塗装仕上げ、張地の断裁と縫製、張り。
すべての製品のすべての工程を社内体制で責任を持って製造している家具メーカーというのはとても稀です。
ロスがないように操業するには、受注・生産管理が難しい体制です。
しかし反面、工場内の連携によっては、さまざまな仕事に対して、とくに新しいものを生み出したり
初めてのことにチームで取り組むときには柔軟な対応が可能になります。
ものづくり目線で工場のあり方を考え、品質にこだわるからこそ至った体制だと思います。
ソファに関して、園田椅子製作所はどこよりも優れたクッション性を目指しています。
ウレタン系のクッション材は15種類をストック。その中から求められる座り心地、意匠性、また背と座の違いにより
組み合わせをチョイスし、適材適所で金属バネや布バネと組み合わせ、そのソファにふさわしいベストな弾性を生み出します。
どのメーカーと比べても胸を張れる良質なクッション材を十分に使い、
上等な座り心地と美観を実現し、確かな耐久性もそなわっています。
これこそが園田椅子製作所のこだわりであり、中身の上質さに自信と誇りを持っています。
それが股旅社中の造作ソファに活かされています。