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地域密着型の工務店として。
[ 野沢工務店・村澤一晃 ]

 
野沢工務店は、静岡市を中心に600棟以上の施工実績を持つ地域密着型の工務店です。股旅社中に入会後に、デザイン班の村澤一晃とデザイン開発のためのワークショップを定期的に開催するようになりました。 およそ一年が経過したある日、同社を訪ねてワークショップのようすを取材しました。


スペシャリスト、深める人になってほしい。

良質な家づくりを行う工務店として、野沢工務店は地元で定評を獲得しているようすがうかがえますが、代表の野澤憲一はより良い家づくりを提供する工務店であるための進化を目指します。
股旅社中に入会したのも、そうした理由からです。良質な素材を使い、社員大工を擁して確かな技術で建てる家のデザイン性を高めることが、村澤とのワークショップの狙いです。 品質、価値の向上を図るために、スケルトンとインフィルそれぞれを進化させる。デザインワークショップはインフィルの進化に取り組みます。

野沢工務店では、こだわり型の住宅と標準化の2方向での充実を図りながら、標準化の方向では狭小タイプの住宅の品質アップも目標に掲げています。 二極化とも多様化ともいわれるさまざまなお客様さまの要望に応えるために、あれもこれもなんでもやるということではなく、 野沢工務店らしさのフレームを構築し、場合分けしたそれぞれのカテゴリーで独自性と柔軟性を追求する取り組みだと感じました。
目新しいひな形をつくり出せば良いのではなく、地元静岡のお客様一人ひとりが満足する「2代3代住み継ぐ家」を提供し続けることが野沢工務店の役割です。

野澤は、「自由な発想と自分から取り組む姿勢で、何でもいいから社員一人ひとりがスペシャリストになって欲しいと願っています。 スペシャルな何かを持てたたら、設計であれ営業であれ、それを強みとして仕事を広げたり伸ばしていける。会社はその強みを共有させてもらえればいい。 強みを生み出すことがデザインワークショップに期待するところです。通常の業務をこなすだけなく、いつもやっていることを引いて見たり、 成長するチャンスを広げることが野沢工務店のデザイン性の向上につながるのではないかと考えます」と話してくれました。


地域工務店が伝えることとは何なのか。

野沢工務店の特徴ひとつに、広報担当を置いていることがあります。呼び方は広報担当ですが、宣伝係、販促係とは一味も二味も違います。 担当は代表の弟、野澤裕。もともと写真や映像が専門で、広報を担当することになってから、野沢工務店のことをどう伝えるか試行錯誤を重ねているということです。
広報の野澤は、「これでいいのか」「なぜいいのか」「ほんとうにいいのか」を問い続けています。話を聞くと、広報というよりもフィロソフィー担当という印象を受けます。 そしてお客様や地域性にもしっかり目を向けています。だから、野沢工務店の広報表現は、易しく分かりやすい中に野沢工務店らしさが色濃く現れます。

やっていること、できることを紹介する広報ではなく、お客様と共にどうなりたいか、というビジョンを伝えようとする広報です。 ビジョンとは空想や絵空事でなく、こうなりたいという意志です。自分たちには今何ができて、これからどうなろうとしているのか。 お客様は今何を望んでいて、これからどう生きていくことを望んでいるのか。そういったことを真摯に考え、伝えたい人に伝えたいことを届ける。 その姿勢が、パンフレットやホームページににじみ出ていると思います。

住宅品質の進化を目指す「スケルトン」と「インフィル」、そして伝えるために問い続ける「フィロソフィー」の3つが、野沢工務店の三本の矢なのだと感じました。



もの静かでクレバー、そして熱くて負けず嫌い。

ワークショップのようすと建築中の現場を案内してもらい、野沢工務店はとても穏やかだと感じました。ガツガツしているところがなくて安心できる。 代表の野澤の印象は、もの静かでクレバーな人。普段から声を荒げることはないそうです。
しかし、優しい声で淡々と話す野沢は、熱くて負けず嫌いな人に違いないとも感じました。そもそも股旅社中の会員企業の代表に負けず嫌いでない人はいませんが、野澤も例外ではありません。
建築中の現場には新しい取り組みを加え、ワークショップでは参加するメンバーの一人ひとりが課題を自分のものとしながら新しい答えに向かって頭と手を動かしていることが伺えました。

この負けず嫌いさや現状にとどまらない姿勢は、家づくりをするお客様にとってはとても頼もしい工務店の資質です。 競合と競り合うことに解決策を求めず、今までよりも良い家を、お客様の要望を上回る家を、昨日までの自分たちよりももっと良い対応ができるようになろうとする野沢工務店。 私が施主なら、こんな工務店に信頼を寄せ家づくりを相談したいと思いました。